アトリエ403  
         

撮影:今井智己  ※は野村浩による撮影

◇date 2014/06
◇所在 千葉県浦安市
◇設計 アタカケンタロウ建築計画事務所 担当/安宅研太郎

◇施工 エヌ・エフ・クリエイション 担当/北原隆志

延床面積 74.72m2

集合住宅の住戸をアトリエに改修するプロジェクト。

まず既存の仕上げを撤去し、壁構造による柱梁の無いシンプルな3つの箱状の空間に戻した。3つの空間はそれぞれ、ワンルームの「スタジオ」、バス・トイレ・キッチンなどの「ユーティリティ」、家族3人の作業ブースが集まる「アトリエ」とし、各スペースに最低限必要な什器やブースをラワン合板の箱として点在させた。また、作品の仮展示や撮影用に、白い壁をレイアウトしている。これらの要素は、窓際の断熱や設備スペースを同時に兼ねている。また、施主が使いながら躊躇なく手を加えていけることも重視し、アトリエとしての余白とラフさを残している。

この集合住宅は隣り合う2戸で一つの階段を共用する「階段室型」プランである。施主家族は、同マンションの別の階段室に属する5階に住居を持ち、一度階段を地上まで下りてから、もう一度階段を上ってアトリエに通勤する。小学生の娘も、帰宅後に家を出てアトリエに向かい、自分用の机で勉強や制作を行う。離れとして知人が宿泊したり、別荘のように家族で泊まってみることもあるだろう。日々の生活の中で住居とアトリエというラベルは次第に意味を失い、ただその時々の活動に対する多様な選択肢の束になっていくのではないか。この超短距離の2拠点居住は、空き家が増加する都市部での新しい暮らし方を垣間見せている。

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