イラン 砂漠地帯の民家 2001/8/30-9/10
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出稼ぎ山羊飼いと山羊達のための建物。山羊飼いは屋上のベッドで眠る。 ヤズドの街路。高い土壁の連続する街路自体は特徴に乏しくて街路としてのひとつのイメージを結びにくい。迷子にならないためには電柱や壁を支えるアーチや丸太の掛け方、装飾されたトビラのデザイン等、点在する要素を関係づけて記憶するしかない。

僕の右側を歩いている女性の服装。みんな同じような格好をしているが、わずかにのぞく目許やちらちらと見える靴、中に着ている服の裾がかえって鮮明な印象を与える。

2001年、東京芸大益子研究室の世界の民家調査シリーズ「ほんとうにそうなのか、どれぐらいそうなのか」の第1回目としてイラン中部キャビール砂漠に点在するカーシャーンやヤズドといった砂漠のオアシス集落の民家を調査した。街区には高い土壁がはり巡らされ街路を歩いても、どこも内部の気配は一切感じられなかった。しかし、その土壁に唯一装飾が施された入口を開き一歩内部に入ると、そこには明るい中庭や深い影を持つ半外部的な空間、貴重な湿度をもつ深い地下の居室など実に多彩な環境が存在していた。一日あるいは一年を通して住居が生み出す様々な気候的な状況を読み取りながら、住居内で生活の場を移していくその生活を、我々は「家庭内遊牧生活」と呼んだ。
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