廃業したガソリンスタンドをカフェ、ファッションデザインのアトリエ、セレクトショップという小さな複合施設へリノベーションするプロジェクト。

このガソリンスタンドは岩手県遠野市という冬期は-15度という厳しい寒さに見舞われる地域に建っているが、ガラス張りの事務所や奥の休憩室、ガレージはどこも断熱がなく、そのままでは恐ろしく居住性が低い場所だった。しかし予算から逆算すると全ての場所を断熱するのは難しく、デザイン以前にどの部分をどのように断熱するかの判断が必要で、結局のところそれがデザインに直結する。検討の結果、全体の半分をしっかり断熱し、残りのガレージはもともとの雰囲気を活かして、ほぼそのままショップとすることにした。

カフェとなるガラス張りの事務所は、アルミサッシを挟んで内外から断熱し、カラマツで仕上げている。一部に開口を開け、既存のサッシの割り付けとずらすことで、サッシを十字の桟のようにみせつつ換気が行えるようにも配慮した。また、アトリエは内断熱とし内装にカラマツの羽目板を張っている。何度か厳冬期にも訪れているが、ガスストーブ一台でかなり温かい。 ちなみにカラマツは、戦後に杉と共に造林されたもので、地域性のある素材とは言い難いが、伐採適齢期を迎えていて積極的に使用したい樹種のひとつであることと、長くアメリカで古着の買い付けを行っていた施主が目指すGeneral Storeの雰囲気によく合うと思い、採用した。

開業して数年経つが、市外のかなり広範な地域からも客が訪れ、地域に無くてはならない場所になりつつある。

NoTO GENERAL STORE
https://www.instagram.com/noto_general_store/?hl=ja

施主はこんな人。
https://motokurashi.com/iwate-tono-n-s/20151010